昭和22年の学習指導要領(試案)でワタが扱われた背景

生活単元時代の生物教材の特徴

①生活に関係深い生物が教材になっている
小学校、特に低学年では、植物を栽培したり動物を飼育したりして観察する活動が多いことは、当時も今も同様である。しかし、当時は、取り上げる教材生物の種類は、学習の目的とする生物現象の理解に適している生物であるかどうかというよりも、生活に密着した生物であるかどうかにウェイトがかけられていたようである。それは、生活単元学習という性格からすれば当然とも言えよう。

②生物教材が他の分野(物理・化学・地学)の教材と共に総合的に扱われている。
一つのテーマの中に、物理や生物などのいろいろな分野の教材が交じっていて、総合的に学習する(ジェネラルサイエンス 一般理科)という形であった。家庭科との関係が深い単元もある。

③保健衛生的な内容が多いこと。
生物教材の一つとして、ヒトを生活との関わりという立場から考えると、健康の維持という面を無視することができない。生物教材には、保健衛生的なものが多く見られる。

引用・・・『理科教育学講座 第7巻 理科教材論(下)』平成4年 日本理科教育学会編

昭和26年の学習指導要領(試案)に、ワタ/ワタの栽培についての記載はない。

学年の指導目標として、以下のことが記してある。

第4学年
6 身近にある資源が日常生活に役にたつことを理解し、自然の恩恵に気づく。

第5学年
6 生物が日常生活に貢献することを理解し、生物の保護に協力する。

第6学年
6 天然資源が日常生活に貢献することを理解し、自然の恩恵を知る。

中学校
2 人と自然界との関係を理解し、さらに、人は他の人々、いろんな生物、自然力の恩恵を受けていることを理解する。

また、理解の目標として、以下のことが記してある。

Ⅵ 人は環境に適応する努力を続けた結果、その生活は進歩した。
1 人は生物を利用して生活している。その保護をはかることはたいせつである。

小学校学習指導書 理科編 Ⅰ (実験・観察等の方法)上 昭和28年2月発行

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